「でも、この前も言ったけど、その時の気持ちと今の気持ちは変化してきている。僕の死に責任を感じているのならそんなことはいいから幸せになってほしいと思う一方で、いつまでも悲しんでいてほしい、僕のことを思い続けてほしいとも思う。岬が笑っているところを見ると苦しくなったし、彼のところに戻ったんだと知って正直ショックも受けた。岬が彼と一緒にいることには賛成できないし、すぐにでも別れてほしいと思う。今はもう彼に傷つけられた岬に僕はなにもしてあげることができないから。けれど、彼と一緒にいることで僕の影を見続けるのならそれでもいいかなんて思ってしまう。僕の知らない誰かと一緒になってしまえば岬の中から僕は徐々に消えていくだろうから」

また空白の時間が流れ、ゆっくりと話が始まる。

「僕は今、自分の愚かさを恨んでいるよ。最低だなって……本気で思うよ。岬に幸せになって欲しいと思うのに、そこに自分がいないんだと思うとたまらない気持ちになる。これからまだこの世界を生きていく岬の気持ちの方が大切な筈なのに、もうすでに終わっている僕の気持ちが優先されるのは違うのに……。一層岬のことを連れて行ってしまいたいとすら思うんだ」
「瑞樹……それは……」
「わかってる。それに僕にそんな力はないよ。自分がいつまでここにいられるのかもわからないくらいなんだから」