想いを通わせたからといって、唐突に何かが変わるわけじゃない。


「ローラン様、一緒に寝ましょっ」

「――――――俺がダメって言うの、分かっててやってますよね?」


 夜分遅く、アーシュラ様は俺の部屋の戸を叩いた。お気に入りのクッションを小脇に抱え、ニコニコと満面の笑みを浮かべて。フリルのあしらわれたナイトウェアに身を包んだアーシュラ様は、悔しいけれどすごく可愛い。抱き締めようと手を伸ばしかけて、止めた。いつ、どのタイミングで、理性の糸が焼き切れてしまうか分からない。


「えーー? わたしたちは恋人同士でしょう? 一緒に寝るのは普通のことですっ」


 アーシュラ様はそう言って、ぷぅと頬を膨らませる。俺は唇を尖らせつつ、アーシュラ様の頬をフニフニと引っ張った。結局触れずにはいられなかった。負けた。