「あっ、ローラン様! 見てください!」


 アーシュラ様は唐突に、反対の路肩へと走り出した。見れば、小じんまりとした台の上に、数十種類のアクセサリーが並べられている。移動型の店舗というやつだ。品物は全て店主の手作りらしい。使われている石は価値のないものばかりだが、可愛らしいデザインをしている。お値段も比較的リーズナブルだ。


「ほらっ、とっても可愛い! 見ていて胸がキュンキュンしますねっ」


 アーシュラ様は瞳をキラキラさせながら、アクセサリーを眺めている。先日、宝石を眺めていた時の瞳とは大違いだ。それがあまりにも可笑しくて、俺は笑いを堪えながら、アーシュラ様の頭を撫でた。


「ダイヤよりこっちの方が良いんですか?」

「うんっ。こっちの方がずっと可愛い。こっちの方がずっと好きっ」


 アーシュラ様はそう言って、幸せそうに目を細める。


(いつまでも見ていられそうな笑顔だな…………んん?)


 無意識にそんなことを考えていた自分に気づいて、俺は内心ショックを受ける。