(一体、どういうことだ?)


 俺がここに来たのは神の預言――――それを記した王の宣旨に基づくものだ。聖女もまた、己が聖女となったことを自覚していると聞いていた。
 溜息を一つ、もう一度少女の方へと向きなおる。


「――――ここはプルフォンス領で間違いありませんよね?」

「そうですね。多分、そうです」

「――――あなたはアーシュラ・ファニング様でいらっしゃいますよね?」

「はい。アーシュラですっ」

「だったら、やっぱりあなたが聖女だ」


 間違いない。宣旨を読み返しながら、キッパリとそう言い放つ。


「えーー?」


 聖女――――アーシュラ様は不服そうな表情で俺を見上げた。けれど、ここで引くわけにはいかない。跪き、真っ直ぐにアーシュラ様を見上げた。


「聖女アーシュラ様。国王陛下があなたを王宮へお呼びです。至急、ご準備ください」


 アーシュラ様は唇を尖らせつつ、仁王立ちで俺を睨みつける。無言の圧力。だけど、生憎と目力には自信がある。俺も負けじと見つめ返した。