(うーーん、一体どんな風に攻めたら良いんですかね?)


 まさに難攻不落。いや、当初に比べたらめちゃくちゃデレているけれども、最後の一線が中々超えられない。

 朝日が降り注ぐ中、お布団の中でゴロゴロしつつ、一人だけの作戦会議を開く。

 その時、ローラン様が泊っている隣の部屋の扉が開く音が聞こえた。だけど、彼はわたしの部屋の戸を叩くことなく、そのまま階段を降りていく。


(いつものトレーニングかな?)


 だけど、普段なら狸寝入りをしているわたしにも『行ってきます』って声を掛けてくれる。それに、いつもより、動き出す時間が一時間は早い。


(わたしに何も言わずにどこかに出掛けるなんて)


 まるで知られたくない何かがあるみたいじゃない? 例えば、他の女性との逢引きとか。
 いや…………そんな、まさか!

 わたしは急いで身支度をすると、宿の部屋を飛び出した。