「あのね、あのね! わたし、困った人は誰でも無条件に助けてもらえる場所ができたら良いなぁって、ずっと思ってたの。だって、わたしに出来ることは高が知れてるし、困っている原因に根本から向き合って、長期的に支援した方が絶対良いもの! だから、そういう施設を作りたいって、陛下に相談してるんです! 殿下も出資を約束してくれたけど、まだまだ資金が足りないから……」


 俺は思わず目を見開いた。アーシュラ様は照れくさそうに笑っている。


(全くこの人は……)


 いつも、いつだって、俺の想像の遥か上を行ってしまう。胸が燃えるように熱い。


「本当に……聖女が君子じゃないなんて、一体誰が言ったんでしょうね?」


 そんな風にして俺は、過去の自分の発言を皮肉る。