「お迎えに上がりました、聖女様」


 国の郊外にある小さな一軒家。人目を避けるようにして建てられたそこに、俺はいた。
 中から出てきたのは、花びらのようなシルバーピンクの髪色にペリドットのような瞳をした、妖精と見まごうほどに可憐で美しい少女。身に纏う神聖なオーラやその美しさから、彼女が神に愛されていることは一目瞭然だ。


「……はい? 聖女? 誰のことですか、それ。この家にはわたし一人しか住んでいないんですケド」


 けれど、目の前の少女から返って来たのはそんな言葉だった。
 どこか気の抜けた声音に砕けた口調。見た目とのギャップが激しい。そこだけが俺の想像していた聖女像と絶妙にズレてしまっている。


「いや、あなたが聖女様だとお見受けしますが」

「わたしが? まっさかーー、そんなことあるわけナイじゃありませんか」


 少女はクスクス笑いながら俺のことを見上げた。