「はぁ…」


腕時計に目を落とした。

時刻は深夜一時を過ぎている。


「ため息なんて吐いて、どうしたんですか?」


隣で岡本が不思議そうな顔をした。


「……いや…」


アイツは今どうしてるんだろう。


部屋に残してきた中野杏里紗のことが頭から離れない。

合鍵や金を置いてくるのを忘れ、食料も昨日の夜に買っただけ。

部屋に食べ物は置いていないから、きっと何も食べられずにいるだろう。


「なかなか出てこないな」


「そうですね」


自宅に帰った男を尾行し、今は張り込み中。