また、あんな経験するのか…。


膝を抱え、頭を埋める。

目の奥が熱くなり視界が歪んだ。


泣くな…。


涙が出そうになるのを堪える。


泣くな。


弱い自分はもうとっくに捨てた。

生きるために何でもやってきたんだ。

今更、あんな惨めな生き方はしたくない。


もうこれ以上は待てない。


玄関の鍵を開けたまま、家を出ることにした。