「杏里紗にはこれからも寂しい思いをさせると思うけど、ずっと傍に居るから」


「うん…」


ダメだ…。

また涙が…。


涙だけじゃなくて鼻水まで出てくる。


「待って。せっかくいい雰囲気なのに鼻水とか…」


照れ隠しもあって、鼻を(すす)りながら笑って誤魔化した。


「そうやって逃げようとする杏里紗も、すぐに泣く杏里紗も…寂しいのに嘘吐いて我慢する杏里紗も…。全部愛してる。それと、誕生日おめでとう」


あたしの手の甲にそっと口付ける。


「えっ!あたし誕生日だっけ?」


「もしかして忘れてたのか?そのために式を今日にしたんだけど…」


マジか…。

本気で忘れてた。