……動けない…。


岡本さんに抱きついてから、透があたしを離してくれなくなった。


「ねー、透…。あたし、あそこの料理食べたい」


「どこ?」


「あれ」


少し離れたところにあるテーブルを指差すと、あたしの腰を引っ張って歩き出す。


「ちょっ…、自分で取りに行けるから」


「ダメだ」


透を見上げても正面を向いたままで、あたしの方を見てくれない。


「……ねぇ、透」


「何?」


相変わらず視線は前を向いている。