「何言ってんの。ただのバカップルやん。因幡さーん、アリサちゃーん。周り、人だらけなんですけどー。イチャイチャしたいんやったら、これ終わってから死ぬほどして下さいっ!」


「言われなくても」


戸田の言葉に慌てて俺から離れようとする杏里紗の腰に腕を回し、離れられないよう引き止めた。


「…因幡さんって、アリサちゃんと出会ってからめっちゃ変わりましたよね」


「どーゆー意味で?」


「仕事が生き甲斐みたいな感じで、女にはこれっぽっちも興味なさそうやったのに」


「そりゃ、どーも」


杏里紗と出会ったから変わることができた。

あの夜の俺の行動は間違ってはいなかった。

そう思った。