「あんなにじゃじゃ馬で、ひねくれてて…。タバコは吸う、酒は飲む。そこら辺の男ひっかける…。岡本にまで色仕掛けとか…。何だよコイツ、って思ってたのにな…」


自分の声が震えている。

顔を上げた杏里紗が唇を噛むのが見えた。


「でもさ、俺……もうお前が居ないと生きてらんねーんだよ」


また大粒の涙を流す杏里紗。


「泣き虫」


「だっ…て…、透がっ……。それにっ、透だって──……っ」


杏里紗の頬に触れ、その輪郭を確かめるように撫でた。


「愛してるよ」


「……あたしも。愛してる」


一生懸命背伸びをする杏里紗を抱き寄せて、長い口づけを交わした。