「因幡さん」


「何だ?」


「因幡さんは自ら刑事課を選ばれたんですか?」


捜査車両に乗り込み助手席に目を向けると、岡本が目を輝かせながら俺を見ている。


「……いや…。岡本は?希望通りだったのか?」


答えを濁しつつ、それ以上突っ込まれないよう逆に聞き返した。


「はいっ!自分大学の時にラグビーやってたんですけど、友達と街を歩いてたらすぐ近くでひったくりに遭った女性が居て。友達と一緒にタックルして取っ捕まえてやりました。その時に感謝されたことと、捕まえたことへの興奮が忘れられなくて」


話を聞くだけでどんな現場だったのか想像できる。