「前の嫁は……まあ、普通…かな。杏里紗みたいに細くはなかったよ」


「……そっか…」


複雑な表情。

なぜしんどくなるようなことを聞くのかが分からない。


「…杏里紗」


「ん?」


「杏里紗は杏里紗だから、わざわざ他と比べんなよ」


「…だって……。どんな人だったのか気になるんだもん」


そう言って唇を尖らせた。


「結婚…したい、って思って結婚した人…でしょ?…あたし…人を好きになったの透が初めて、だから…。――だからっ…透が……どれだけその人と――…っ、愛し…合ったんだろ……とか…。好きだから気になるの…。想像すると苦しいのっ!」


ボロボロ涙を溢す。