「杏里紗の行動を説明するとだな。まず、俺のせいで一人店で待つことになったお前は、閉店間際男に声を掛けられた」


透の説明を聞きながら、昨日の夜の出来事を思い出そうとする。


確かに、オジサンに声を掛けられたのは覚えてる。

――で、店で一番高いお酒を頼んで飲んでたらフワフワしてきて…。


そこからの記憶が、まったくといっていいほどない。


「で、お前はその男と一緒に店を出て、この部屋まで歩いてやって来た」


「えっ、嘘っ!」


「だいぶフラフラしてたけどな」


右手で頬を引っ張られた。


「痛っ…」


口元は笑ってるけど、目が怒ってる…。