「クリスマスイブの夜にこんな素敵なレディーを一人にするなんて、ひどい奴だね」


「ひどい…。だって仕事だもん…」


「本当に仕事かな?もしかして、別の女の人と――」


「仕事だって言ってんじゃん!透は――」


『別の女の人』

そう言われて勢いよく立ち上がった。

酔いが回ってきたのか、声も大きくなる。

静かな店内がもっと静かになり、皆があたし達を見た。


「――っ…」


ストンと椅子に座り、残りのお酒を流し込む。


「……で……から…」


オジサンが何かを言っているみたいだったけれど、水の中に居るみたいに声がぼやけて何も聞こえなくなった。