『いい…。別に食べなくても…』


杏里紗の泣き顔を思い出して胸が痛んだ。


「俺も初めて終わってから飯食ったよ」


「じゃあ、因幡さんも猛者の仲間入りですね」


そう言って拍手する。


「当直明けの休みが丸一日潰れたんだぞ。日付変わってから帰って一時前に飯食って…。風呂入って寝て、三時間もしたら起きてまた仕事……。俺、一昨日入籍したばっかりだっての…」


昨日は丸一日、杏里紗を一人にしてしまった。


「刑事課の仕事は過酷ですもんね」


「まあな…」


でも、だからと言って辞めたいとは思わない。