ストレッチャーに乗せられた人は、どう見ても危険な状態だ。

そんな切迫した状況の中、撮影しようと救急隊員を追いかける奴ら。

違法なわけではないけれど、こんな場所での不謹慎な行為に心中穏やかでない。


「はぁーっ…」


ため息を吐いた。

こういう非日常的なところで働いていると、その人間の醜い部分というか本性が如実に表れる。

火災発生から、もう既に一時間が経過しようとしていた。

何台もの消防車が放水しているにも関わらず、勢いよく燃え盛る一軒家。

このままだと、完全に焼け落ちるまで燃えそうだ。


早く消えろ。


祈るように消火の行方を見守った。