「立て」


背筋に鳥肌が立つぐらい鋭い目つき。


「ご…ごめん…なさい…」


男の言葉通り、その場に立つ。


「何か盗ったのか?」


「何にも…。あまりに何もない部屋だから何かないかと思って…」


「…で、何かあれば盗るつもりだったってことか」


「ちっ、違う!気になっただけだから、見るだけで何もしないし」


「……ま、いい。何か探したところで、何もないしな」


少し考える素振りを見せたものの、それ以上追及することはなかった。

部屋から出ていく男の後ろ姿を見送る。