『そんなに根詰めると倒れちゃうわよ』


頬に触れる冷たいビタミン剤の瓶の感触。

俺の職場までわざわざやって来た安藤が隣に立っていたことすら気付けないほど、精神状態は追い詰められていた。


『気分転換に飲みに行かない?』


その誘いに乗って行ったバーであり得ないほど酔っ払った俺は、店を出たところで支えてくれた安藤とキスをした。

狭くて薄暗い通路。

酔っぱらってたくせにそのことだけはしっかりと記憶に残ってて…。


『私が奥さんの代わりになるわよ』


その一言で、一気に現実に引き戻されたんだ。


雰囲気に呑まれて好きでもない女とキスしたとか…。

俺の黒歴史…。