「大事にしろよ」


ポンと頭に手を乗せ、あたしの横を通り過ぎる。


「透っ!」


「何?」


振り返った透の優しい笑顔に胸がときめく。


あぁ…。

あたし、本当にこの人が大好きなんだ…。


「あたしっ…。頑張っていい奥さんになるからっ!」


「杏里紗はそのまんまでいーよ」


「違っ…。あたしと結婚して良かったって…。死ぬ時にそう思ってもらえるように頑張るから」


「結婚したばっかりなのに死ぬとか不謹慎なこと言うな」


戻ってきた透が笑いながらあたしを抱き締めてくれる。


「これからよろしくね、旦那様」


因幡杏里紗として、透のために生きていく。

そう心に誓った。