「行くぞ」


そう言って玄関へと歩き出す透の後を、慌てて追った。


――透…。トオル。とーる…。


何度も心の中で呟いてみる。

何だか、未だに不思議な感じ。


安藤さんは何て言ってたんだろ…。


胸がキューッと締め付けられる。

息が苦しくて、少しツラい。


「どうかしたか?」


振り返った透が心配そうな顔であたしを覗き込んできた。


「……正直に言っていい?」


「何…だよ…」


身構える透。

眉間に皺が寄っている。


「……安藤さん…何か言ってた?」


「何でアイツが出てくんだよ」


ますます難しい顔になる。