「それよりも、いつここを引き払う?」


杏里紗の後ろから両手を回して引き寄せ、頭頂部にキスを落とす。

小さく身じろぎ、俺の腕の中で小さくまとまった。


「分かんない。ここ出てどこに行けばいいの?」


「そりゃ俺ん家だろ」


当たり前のことを聞かれ、思わず即答する。


「杏里紗が結婚してくれる気があるなら、結婚して俺ん家で一緒に住む」


「……じゃあ、婚姻届書いていい?」


俺の両手の上に手を重ね、俺を見上げて首を傾げた。


「ん。後で俺も書く」


「分かった」


嬉しそうに口角を上げた唇にそっとキスをする。