「ねー、透」


『因幡さんって呼ぶたびに一回襲うからな』

そう言ったら、驚くほどすぐに俺のことを『透』と呼ぶようになった杏里紗。


それはそれでちょっと複雑なんだけどな…。


「どーした?」


「やり過ぎ。お風呂入って鏡見てビックリしたんだけど」


杏里紗が服の胸元を引っ張り、俺に抗議する。

そこには、昨日一晩で杏里紗につけた痕跡の数々。


「悪かったって」


「ま、別にいーけどね」


『愛されたって証だから』


独り言のように呟いたんだろうが、俺の耳にはしっかりと届いていた。