『とりあえず、良かったね』


嬉しそうに笑う中川さんの顔は今でもハッキリ覚えている。


さてと……。


お風呂にでも入ろうかと準備をしていたら、突然チャイムが鳴った。

今は夜十時過ぎ。


こんな時間に誰だよ…。


出ようとして玄関ドアの前で立ち止まる。

郵便や宅配なんてこんな遅い時間にやってくるはずもない。

それに、この場所を知っている人は限られている。


もしかして、クソ義父?


考えている間にも何回かチャイムが鳴った。


…待って…。

本当にアイツだったら…?


そう思うと恐怖で足が動かなくなった。