『アリサちゃん、とうとう許可出たわよ!』


そう中川さんに言われたのは、シェルターに来て二ヶ月が経った頃だった。


『え、マジで?』


『うん!何でか分かんないけど、住所教えられない条件も飲んでくれたし』


中川さんが、あたしが一人暮らしをすることの許可を取りに実家に行ったところ『住んでる場所を教えろ』と脅した義父。

『教えろ』、『教えられない』のやり取りを繰り返し、これ以上本人の身の安全を保障できないのなら家庭裁判所に親権喪失や親権停止を申し立てると中川さんが言うと、それっきり何も言ってこなくなったらしい。

ただ、許可してくれたわけではないので話はそこで止まったままだった。