「はぁ…」


何度目か分からないため息を吐く。

スマホも連れ去りもあたしには関係ない話だけど、閉じ込められるのは苦痛でしかない。


でも、これも因幡さんのため…。


そうやって自分を納得させるしかなかった。


「中野さん、いい?」


コンコンとドアがノックされ声を掛けられる。


「はい」


短く返事をすると、スタッフの人がニコニコしながら入ってきた。


「コタンの人が来てくれたから」


スタッフの人が言っていた子ども担当弁護士、通称『コタン』。


「コタンの中川といいます」


「あ、どうも…」


コタンの人が入ってきてドアが閉められる。