もしかして……。


不安が頭を過る。

靴を脱ぐのももどかしく、蹴飛ばすように脱ぎ捨てて部屋の中へ飛び込んだ。


「杏里紗!」


慌てて部屋の電気を点ける。

ベッドは綺麗に整えられ、机の上にクレジットカードと白い紙が置いてあった。

よく見ると紙はレシートで、その裏の白い部分に黒く塗りつぶされた何かの跡。

そして『さよなら』の文字。


「――ふざけんなよ」


何が『さよなら』だ。


土曜日、様子がおかしかったのはこのせいか。

ぐちゃぐちゃに塗りつぶされたところに書いてあった『大すき』の文字。


「勝手に終わらせてんじゃねーよ…」


レシートをギュッと握り締めた。