嘘も孤独も全部まとめて

「まだお前と知り合う前だからな」


「…私、奥さんの愚痴しか聞いたことないし」


「その件に関しては悪かったって」


そして、結局俺が一番長い付き合いになっているのが安藤だ。


「別にいいけどね。貸しはいっぱいあるんだから」


「何だよ、『貸し』って」


「因幡くんの愚痴に散々付き合ってきたんだから、これからは私が付き合ってもらう番ってこと」


「…それは…」


杏里紗の泣き顔が頭を過った。


「ねえ」


信号待ちで車が停まり、安藤が俺を覗き込む。