……アイツ、今頃泣いてないか。


部屋に残してきた杏里紗のことが脳裏を過る。


『行っちゃヤダ』


アイツがあんな顔をするとは思わなかった。


……あー、もう…何なんだよ…。


空を仰ぎ見る。

白い雲に青い空。

絶好の秋晴れだ。


……今日は一緒に居てやるって約束したのにな…。


『アリサちゃんのことで話があるの』


そう言って掛かってきた安藤からの電話。

ただの用事なら断るところだったが、杏里紗が絡んでくるなら話は別だ。