家でも喋れるのに、散々喋り倒し家に着いた。


「あー、もー無理!疲れた!」


ごろりと床に寝転び、全身を伸ばす杏里紗。


「無理じゃねーだろ。さっさと手ぇ洗って歯磨きしろ」


「やーだよっ。因幡さん、何かお父さんみたい。あたしにはクソ義父しか居ないけど」


自虐ネタも平気で笑えるようになっている。


「誰が父親だ」


「じゃあ、彼氏がいーな。因幡さん、抱っこ。起こしてくれたらやるー」


両手を広げ、俺を見つめてくる。

つい手を出しそうになり、すんでのところで思い止まった。