「やっぱ、ルナじゃん」


「え……?」


誰?この男……。


身に覚えがない。


「あれ?マジ?あの時あんなに熱い夜を過ごしたのに、もう忘れちゃったとか言う?」


確かに『ルナ』という偽名を使って男との夜を過ごしていた。

顔も覚えていないけれど、あたしが声を掛けたのか声を掛けられたか。


「今日はまた、すっげーエロい格好して歩いてんだね」


「え……あ、違…」


「もしかしてノーブラ?マジ?」


あたしに触ろうと手を伸ばしてくる。


「やっ!やだ!」


その手を払うと、楽しそうに笑いだした。