「……そんなつもりで言ったんじゃない。でも、杏里紗の気持ちは受け取れない」


「───っ…」


勢いよく体を起こす杏里紗。

そのまま走り出し、玄関を飛び出した。


「おいっ!杏里紗!」


アイツの気持ちを否定することしか言わなかった手前、立ち上がって追いかけることができなかった。


……しばらくしたら帰ってくるだろ。


バタンと閉まるドアの音を聞きながら、どうしようもない感情を押し殺すしか方法が分からなかった。