本当は、今すぐにでも杏里紗をこの家から出さないといけないだろう。

だけど俺にはそれができなかった。

杏里紗は自分の人生を諦めている。

今まで信用できる大人が居なかったんだ。

ここで俺が杏里紗を見捨てるわけにはいかない。


見つかったら、俺の人生終わりだな。


腕の中で眠る杏里紗を見下ろす。

関係を迫られて断ったら無理矢理キスされた。


…女と触れ合うなんて何年振りだろうな…。


アイツと泥沼のような毎日を過ごしていた時から、女に対する嫌悪感みたいなものがあったから『女』として女を見ることをやめた。