「杏里紗」


声を掛けても反応がない。


「服…置いとくぞ」


盛り上がった布団に声を掛け、枕元に服を置いた。

着ていた服を脱いで洗濯機に放り込む。

タオルを取って風呂に入り、頭から熱いシャワーを浴びる。


『あの人と付き合ってるの?』


目を閉じると、杏里紗の言葉が頭の中に響いた。


『あの女と付き合ってるの?』


杏里紗の声にアイツの声が重なる。


『何でこんなに遅いの?あの女と会ってるの?』


どれだけ否定しても信じてもらえなかった。

花やアクセサリーをプレゼントしても、ご機嫌取りだとこき下ろされる。