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「いらっしゃいませ」


カランと鳴るアンティーク調のドアベル。

それに反応したマスターが声を掛けてくれる。


「お疲れ様」


カウンターに座る安藤が振り返って微笑んだ。

十席ほどしかないカウンターには安藤しか居ない。


「お疲れ様でございました。何になさいますか?」


髪の毛をオールバックにしたマスターが、安藤の隣に腰を下ろした俺の前に立ち、熱いおしぼりを手渡してくれる。