私も変わり者だという噂は聞いていたので、その話はそれほど違和感を覚えなかった。
「ふふふ、レオンハルト様は面白い方ですね」
「それほどではないですよ。昔、よく父にユーモアのセンスがないと叱られたものです」
「そうなんですか?」
「ええ、それはもう。父ときたら僕の錬金術の研究も――。いえ、僕の話はまたあとにしましょう。まずは屋敷で長旅の疲れを癒やしてください」
首を大げさに振りながらレオンハルト様は私を屋敷というより古城と呼べるほどの邸宅内に案内する。
うわぁ……、内装もいかにもって感じだなぁ。
甲冑が並べられていたり、所々に絵画や彫像が飾られていたりして、その荘厳な雰囲気に少しだけ私は圧倒されていた。
「リルアさん、体調はどうですか?」
「体調、ですか? あ、いえ問題ありませんが……」
長い廊下を歩いてしばらくすると、レオンハルト様は突然立ち止まり、私の顔をジッと見て変な質問をする。
一体、どうしていきなり体調など気にするんだろう……。
「ふむ。そうですか……。最近、あまり寝られていないのは、やはり人質になるという緊張感からでしょうか?」
「えっ? それは、その。ええーっと」
なんという洞察力の鋭さ、そしてなんという速さ。
こんなに短時間で私があまり睡眠時間が取れていないことを見抜いてしまった。
目の下にくまができたとかではないと思うんだけど、一体どうやって……。
「うーん、なるほど。リルアさん、お疲れでしょうが申し訳ありません。少々ティータイムに付き合ってはいただけませんか?」
「ティータイム、ですか?」
「ええ、いい茶葉が手に入りましてね。ごちそうさせてください」
私が言い淀んでいるとレオンハルト様はジィーと眼鏡越しにこちらを見て、いきなり紅茶を勧める。
「それではお言葉に甘えていただきます」
(早く休めと言われてもどのみち眠れないし、断るのも感じ悪いわよね)
疲れているのは事実だが、眠れないのも事実であった。
だから私は素直に彼の言葉に従うことにする。
「お時間は取らせませんので、どうぞこちらに」
そんなこんなで私は公爵家の食堂へと案内された。
おおーっ! やっぱり大きいなぁ。
「ふふふ、レオンハルト様は面白い方ですね」
「それほどではないですよ。昔、よく父にユーモアのセンスがないと叱られたものです」
「そうなんですか?」
「ええ、それはもう。父ときたら僕の錬金術の研究も――。いえ、僕の話はまたあとにしましょう。まずは屋敷で長旅の疲れを癒やしてください」
首を大げさに振りながらレオンハルト様は私を屋敷というより古城と呼べるほどの邸宅内に案内する。
うわぁ……、内装もいかにもって感じだなぁ。
甲冑が並べられていたり、所々に絵画や彫像が飾られていたりして、その荘厳な雰囲気に少しだけ私は圧倒されていた。
「リルアさん、体調はどうですか?」
「体調、ですか? あ、いえ問題ありませんが……」
長い廊下を歩いてしばらくすると、レオンハルト様は突然立ち止まり、私の顔をジッと見て変な質問をする。
一体、どうしていきなり体調など気にするんだろう……。
「ふむ。そうですか……。最近、あまり寝られていないのは、やはり人質になるという緊張感からでしょうか?」
「えっ? それは、その。ええーっと」
なんという洞察力の鋭さ、そしてなんという速さ。
こんなに短時間で私があまり睡眠時間が取れていないことを見抜いてしまった。
目の下にくまができたとかではないと思うんだけど、一体どうやって……。
「うーん、なるほど。リルアさん、お疲れでしょうが申し訳ありません。少々ティータイムに付き合ってはいただけませんか?」
「ティータイム、ですか?」
「ええ、いい茶葉が手に入りましてね。ごちそうさせてください」
私が言い淀んでいるとレオンハルト様はジィーと眼鏡越しにこちらを見て、いきなり紅茶を勧める。
「それではお言葉に甘えていただきます」
(早く休めと言われてもどのみち眠れないし、断るのも感じ悪いわよね)
疲れているのは事実だが、眠れないのも事実であった。
だから私は素直に彼の言葉に従うことにする。
「お時間は取らせませんので、どうぞこちらに」
そんなこんなで私は公爵家の食堂へと案内された。
おおーっ! やっぱり大きいなぁ。
