オスカーが爽やかな笑顔でさらっと言った事に、父の顔はひきつり、母は慌てて立ち上がった。


「オスカー! 貴方、何を言ってるの!」

 母が義兄の右手を握ったので。
 私だって、とロザリンドも急いでオスカーの左手を掴んだ。
 2人とも『こいつは絶対に逃がさない!』と、
手を握ると言うよりも、両手を拘束したような
格好だ。


 女性2人から左右を抑え込まれて、オスカーが
義父に助けを求める瞳を向けたので、コルテス
侯爵は咳払いをした。


「……ロザリンドに後を継がせればいい、などと。
 お前はどうする気なんだ?」

「マーカスのウェイン家に戻るか、王都で仕事を探すか致しますが。
 学苑を卒業するまでは、こちらでお世話になることをお許しいただけますと……」