美しく理知的で落ち着いた、大人びたひとだと
思っていたアビゲイルの緑の瞳が、楽しそうに輝いていた。


 あのデビュタント以来、こうしてロザリンドに話をねだる令嬢が後を絶たない。
 ……それと共に男子生徒達が自分に対して腰が引けている、のにも気付いていたけれど。


「貴女のように男性に対して一歩も引かず戦ってご自分を守れた事が、どれだけ私達に勇気を与えたことか。
 ランドール王子殿下は聡明な御方でしたけれど女性の事を侮りすぎておられましたから、自業自得ですわね」


 ロザリンドに向かってにっこり笑って、アビゲイルが言い切ったので、この御方も色々と鬱憤が溜まっているのだろう、と彼女の置かれている状況を察したロザリンドだった。