申し訳ないと頭を下げるわけでもなく、自分の行動を悔いている風でもなく。
 いつものおしゃべりと変わらない軽い調子で。
 浮気相手との別離を婚約者に語ってみせた。



「俺は真実の愛の相手だと思ってたんだけど、
ミシェルにとっては違ってたみたいなんだ。
 それで昨日さようなら、と言われてね」

「……ミシェルとおっしゃるのが、貴方の浮気相手?」

「いやぁ、俺からすると浮気じゃなかったんだけどね」


 浮気じゃなかったのなら、本気だったのか。
 良くもまあ、そんなセリフが吐けるわね、と。
 ロザリンドは婚約者の顔を見た。


 その上自分から別れたのではなく振られた、と
ウェズリーは言った。
 情けないと自分で思わないの、とイラついた。


「別れたのなら黙っていたら良かったのに。
 どうしてわざわざその話を私にするの?」

「だって、入学したら君の耳に入る話だろう?
 その前に伝えとかなきゃ、と思ってさ」


 おあいにくさま、もう聞かされた話よ。
 このバカ(ウェズリー) 、どうしてくれようか?