貴族の娘である以上、王子殿下の手を取るしか
ない。 

 オスカーは近くで見守ってくれると言っていた。
 この一曲が終わったら、直ぐに私を連れ出して
くれる、って……
 だが、頼みの綱のオスカーはご令嬢達に囲まれて徐々に向こうへ連れていかれてしまった。


 踊りながらその方へ何度も目をやるロザリンドに、ランドールは鮮やかに笑って見せた。


「お義兄様に助けを求めているのかな?」

「……」

「ダンスをしているのだから、パートナー以外は見ちゃいけないよ」


 王族は元々美しい容姿をしている人間が選ばれた容姿の人間を娶る事を何代も続けているので、
彼等の見た目は素晴らしいの一言だ。
 ロザリンドの手を取って目の前で微笑むランドール第2王子殿下もその一員で。
 彼の見た目は申し分ない……見た目だけは。