ウェズリーの性格上、浮気を隠しながら婚約者ともうまくやろうとして行動しているのではなく、あまり深く考えずにそうなっているのだろう、と思われた。


 ウェズリーには、元来そういうところがある。
 やる事、言う事、全て悪気がないのだ。
 だから余計に始末が悪いとも言える。


 馬鹿者ウェズリーの事だから。
『真実の愛』なんて口にしても、どれ程のものかわからない。
 それは学生の間だけのことなのかもしれない。
 このまま、彼はロザリンドと結婚をするつもりなのだろう。


 だから大事にしたくなくて、お義兄様は黙っているのだろうか、とロザリンドは考えた。



 なるほど……
 ウェズリーとオスカーのふたりが何も言わないつもりなら、私からは何も聞くまい、とロザリンドは決めた。
 その代わり……その時が来たら。

 ウェズリーなり、オスカーなり、どちらかが私にその事を告げたなら。
 お父様にお願いして、どんな目に合わせてやろうかしら。



 そして、今。
 その時がやってきた。


 ウェズリーがとうとう! ようやく!
 浮気を告白したのだ!


 ……だが、やはりウェズリーはウェズリーだった。