こうしてオスカーが次期侯爵としてオブライエン家に迎え入れられて、5年の歳月が過ぎた。


 彼の記憶では、1ヶ月後の仮面祭りでヒロインのミシェルと恋に落ちることになっていて……
 正直なところオスカーは、どうにかしてそれを
なくすことは出来ないだろうか、と悩んでいたのだった。


 次期侯爵になるのだから早く婚約者を決めたいと急かす義理の両親(特に義母) には、学苑を卒業してからとお願いした。


『後継はこいつで大丈夫、と周囲からも認めて貰える成績を取りますので』と。
 もっともらしい理由をつけたが、本当はミシェルとの用意されたラブ展開のせいだ。
 決められた運命がそうさせるのなら、下手に婚約者など作って泣かせることはしたくなかった。