何故だかわからないが、今夜のロザリンドの様子はおかしかった。

 とにかく、ずっと彼女との距離感がいつもと違っていて、おかしい気がするオスカーだった。


〈その1〉
 馬車から降りる時、差し出した手を柔らかく握られたのは少し驚いたが
『緊張してしまいますわ』と、ロザリンドが頬を上気させて言ったので、初めての登城に言葉通り義妹が足を踏み外さないよう緊張しているからだと受け取ったのだが……

〈その2〉
 国王王妃両陛下、王太子殿下以下の王族への挨拶を終えて、両親と合流しようとエスコートして
夜会会場を進んでいたら、ロザリンドにそっと引っ張られた。
 急に立ち止まったのでどうしたのかと思えば、
つま先立ちでオスカーの耳元に唇を寄せてきた。 


「今夜はずっと……私がお義兄様のお側に居て。
 お見合いのお顔合わせから守って差し上げます」