侍女長のマーシアが先立ち、ロザリンドの私室の扉を開いた。
 彼女が素早く、整えられたベッドの上掛けをめくると、そこに慎重かつ丁寧にオスカーは義妹を横たえた。


 羽毛枕に広がった彼女の黒髪を優しい手つきで
整える。


「気分はどう?」

「悪くはないです、ありがとうございます……」

 ベッドの側にメイドが椅子を持ってきたので、
オスカーはそれに座り、ロザリンドの手を取った。


「あいつに、ウェズリーに……何かされた?」


 ウェズリーは多分これから皆に吊し上げられる
だろう。
 この婚約も、彼の有責で破棄になるかも。
 それは全然構わなかったが、これだけは言って
おいてあげよう。


「いいえ、何もされてはおりません。
 私が気を失ったのを支えてくれていただけです」