オスカーは伯爵位以上の貴族達の前で。
 すなわち貴族議会の議員達の前で、自ら王族にはならない、と宣言したのだった。

 いくら国王陛下が根回しをしていたとしても、
本人がはっきりと口にしたのだ。
 自分の意見をゴリ押し出来る力を、ローレンス国王陛下は持っていなかった。


「それでよろしかったんですか?」

 本来の自分の地位である、王弟になるチャンス
だったのに。


「君が言ったんだよ、王族にはなるな、って。
 ロージーの頼みだからね、俺は言うこと聞くよ。
 自分が頼んだこと、忘れたの?」




 グレンジャーがお見舞いに来てくれて、久しぶりに庭でお茶をした。
 自分の救出劇を聞いて、あの男にどのような処分が下ったのかも聞いた。


 男は侯爵令嬢誘拐とオズワルドを殺めた罪で服役するだろうが。
 ランドールの件に関しては、コルテス侯爵家が責任を持って、彼と亡き同僚の名誉回復に努めることを約束すると、初めて男は泣きながら名乗ったそうだ。