このままオスカーとふたりだけの世界に没頭したいのに、うるさい男が横で騒いでいる。


「君が倒れたこと、俺は関係ない、って!
 オスカーに言ってくれ!」

「……今はその話はいいだろ、ウェズリー」

「いや、そこをはっきりさせてくれよ。
 じゃないと俺は……」


 ロザリンドはオスカーに支えられて上半身を起こした。


「ロージー、無理しなくていい。
 もうすぐサリバン先生が来るから」

「本当に大丈夫です……」

 サリバン先生は、コルテス侯爵家の侍医だ。
 自分の周囲にはオスカーとウェズリーだけでなく、執事のトムソンや侍女長のマーシアが膝をついて囲んでいた。


「若様、旦那様と奥様にも早馬を走らせましたので」

「先生がお越しになる前に、お部屋の方に移っていただいても?」