その魔法さえ中途半端だ、とグレンジャーには
指摘された。
 完璧に内外からの攻撃に耐えられるよう、保護魔法をかけたつもりだったのに。


「畏まりました。
 リボンを拝見致します。
 失礼致します」

 そう言ってオスカーの手首を軽く掴んだカーネルのライトブラウンの瞳が赤く染まった。
 オスカーは傍らのグレンジャーの方を見た。


 グレンジャーは軽く笑い、自分の赤い瞳を指差した。
 この魔力を秘めた赤い目があったから、自分は親父殿に引き取られたのだ。


 オスカーは甥だ、と。
 養父から聞いていたが、さっきは殿下と呼び掛けていた。


 手元で育てられない甥っ子と同い年の自分が、養子に選ばれたのは魔力のせいだけではないのかも知れない。
 しかし、それをグダグダ思うのはグレンジャーの性に合わない。


 俺は親父殿が気に入ってるし。
 親父殿は俺を気に入っている。
 ただ、それだけで充分じゃないか?



 そして3人はロザリンドのリボンから感じる彼女の波動を探しながら飛んだ。