「じ、じゃあ本物のオズワルドは……」

 そう尋ねるロザリンドの声は震えていた。
 本物のオズワルドがどうなったのか、なんとなくわかっていたけれど。
 男は無言で肩を竦めて、問われた事の答えにした。

 男は既に1人殺めていたのだ。
 1人殺すのも2人殺すのも同じだ、と考える人間は多い……
 また自分が死ぬ確率は上がった。


「お嬢さんにはそれほどの恨みは無いけどな」

 言葉に感情を乗せずに男はしゃべった。


「最初は王太子派の仕業にされて、その後から
情報をたどって、これは第2王子派だ、と思われるのも面白い。
 ランドールの実家は潰れてしまえばいい。
 罪の無いお前が死ぬことで、コルテス侯爵も、小僧も、国王も、皆が苦しめばいい」

「……」

「これは俺達が受けた罰と同じなんだよ。
 何の罪を犯していなくても、力を持たない弱い者は罰を受けてしまう、ってことさ」